○日吉津村生活困窮者自立相談支援事業実施要綱

平成27年4月1日

要綱第16号

(目的)

第1条 この要綱は、生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号。以下「法」という。)に基づき、生活困窮者が抱える多様で複合的な問題につき、生活困窮者からの相談応じ、必要な情報提供及び助言を行うともに、生活困窮者に対する支援の種類及び内容等を記載した計画の作成、生活困窮者に対する認定就労訓練事業の利用あっせん等さまざまな支援を一体的かつ計画的に行うことにより、生活困窮者の自立の促進を図ることを目的とする。

(実施主体)

第2条 日吉津村に居住する生活困窮者に対する事業の実施主体は日吉津村とする。ただし、日吉津村が直接行うこととされている事務を除き、事業の全部又は一部の事業を適切、公正、中立かつ効率的に実施することができる者であって、社会福祉法人、一般社団法人、一般財団法人及び特定非営利活動法人その他村長が適当と認める民間団体に委託することができる。

(事業内容)

第3条 本事業における目標は、生活困窮者の自立と尊厳の確保及び生活困窮者支援を通じた地域づくりであり、以下の取組を実施することとする。

(1) 包括的かつ継続的な相談支援については、生活困窮者に対して広く相談を行うとともに、生活困窮者が抱える多様で複合的な課題を包括的に受け止め、その者の置かれている状況や本人の意思を十分に確認(以下「アセスメント」という。)した上で、支援の種類及び内容等を記載した計画(以下「プラン」という。)を策定する。また、プランに基づくさまざまな支援が始まった後も、それらの効果を適切に評価・確認しながら、本人の状況に応じた適切な就労支援も含め、本人の自立までを包括的・継続的に支えていく。

(2) 生活困窮者支援を通じた地域づくりについては、生活困窮者の早期把握や見守りを行うため、関係機関・関係者のネットワークを構築し、包括的な支援策を用意するとともに、生活困窮者の社会参加や就労の場を広げていく。さらに、生活困窮者の支援にあたっては、既存の社会資源を積極的に活用するとともに、社会資源が不足している場合は、新たに開発することに努める。

(3) 配置職員については、日吉津村福祉事務所に自立相談支援事業を実施する機関(以下「自立相談支援機関」という。)を設置し、主任相談支援員、相談支援員(以下「主任相談支援員等」という。)を配置する。(兼務をさまたげない。)就労支援専門員は、鳥取県西部総合事務所福祉保健局(以下「県福祉事務所」という。)に配置するため、主任相談支援員等と十分に連携が取れる体制を構築する。主任相談支援員等及び就労支援専門員は、原則として、厚生労働省が実施する養成研修を受講し、修了証を受けた者とする。(ただし、当分の間はこの限りでない。)それぞれの職種における主な役割は以下のとおりであるが、人口規模、人員等の状況により、地域の実情に応じた柔軟な対応を行うことも可能とする。

 主任相談支援員

自立相談支援機関における相談業務全般のマネジメント、他の支援員の指導・育成、支援困難ケースへの対応など高度な相談支援を行うとともに、社会資源の開拓・連携等を行う。

 相談支援員

生活困窮者へのアセスメント、プランの作成を行い、様々な社会資源を活用しながらプランに基づく包括的な相談支援を実施するとともに、相談記録の管理や訪問支援などのアウトリーチ等を行う。

 就労支援専門員

生活困窮者へのアセスメント結果を踏まえ、公共職業安定所や協力企業を始め、就労支援に関する様々な社会資源と連携を図りつつ、その状況に応じた能力開発、職業訓練、就職支援等の就労支援を行う。

(包括的かつ継続的な相談支援)

第4条 生活困窮者に対する包括的かつ継続的な相談支援は、以下の手順で実施する。

(1) 生活困窮者の把握・相談受付については、相談者の中には自ら相談に訪れることが困難な者もいることから、自立相談支援機関は待ちの姿勢ではなく、訪問支援などアウトリーチを含めた対応に努める。この場合、地域内の関係機関のネットワーク強化を図り生活困窮者の早期把握に努め、必要に応じて訪問や声かけなどを行う。また、役場内の関係部局との連携を強化し、関係部局から自立相談支援機関へとつなぐ具体的な紹介ルールを設定するとともに、相談内容を共有する「相談・連絡票」(別記様式)を定めておくこととする。

(2) 相談受付時に、相談者の主訴を丁寧に聞き取った上で、他制度や他機関へつなぐことが適当かを判断(振り分け)する。

(3) 相談者への他制度等の紹介のみで対応が可能な場合や、明らかに他制度や他機関での対応が適当であると判断される場合は、情報提供や他機関へつなぐことにより対応する。

(4) 相談内容から、自立相談支援機関による支援が必要であると判断される場合は、本人から、本事業による支援プロセスに関する利用申込を受けて、その同意を得るとともに、丁寧なアセスメントを行う。アセスメントにより、本人に関する様々な情報を把握・分析した後、自立相談支援機関が継続してプランの策定等の支援を行うか、又は、他制度や他機関へつなぐことが適当かを改めて判断(スクリーニング)する。生活保護制度へつなぐことが適切と判断される場合は、確実に保護申請につなげるものとする。また、他制度や他機関へのつなぎが適当と判断された者には、本人の状況に応じて適切に他の相談窓口等へとつなぐとともに、必要に応じてつなぎ先の機関へ本人の状況について確認するなど、適宜フォローアップに努めるものとする。なお、本人に関する個人情報を関係機関と共有するためには、本人の同意が必要であることに留意すること。また、いわゆる相談のたらい回しとならないよう関係機関と連携することが重要である。

(5) スクリーニングの結果、自立相談支援機関による継続的な支援が妥当と判断された者については、本人へのアセスメント結果を踏まえ、本人の自立を促進するための支援方針、支援内容、本人の達成目標等を盛り込んだプランを策定する。なお、プランは本人と自立相談支援機関とが協働しながら策定するものであることから、プランの策定に当たっては、本人の意思を十分に尊重するものとする。

(6) プラン策定前においても、必要に応じて、緊急的な支援(住居確保給付金の支給等)や、就労支援専門員による就労支援その他の地域における様々な社会資源を活用した各種支援が受けられるよう、必要な調整を行うものとする。

(7) プランの内容は、自立相談支援機関が自ら実施する支援に加えて、次のからまでに掲げる法に基づく支援、からまでに掲げる他の公的事業又はインフォーマルな支援など、本人の自立を促進するために必要と考えられる支援を盛り込むものとする。

 住居確保給付金の支給

 就労準備支援事業

 認定就労訓練事業

 子どもの学習支援事業

 からまでのほか、生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業

 公共職業安定所が実施する生活保護受給者等就労自立促進事業

 生活福祉資金貸付事業

 上記のほか、様々な公的事業による支援及び民生委員による見守り活動等のインフォーマルによる支援

 支援調整会議を開催し、プランの内容が適切なものであるか確認を行うとともに、プランに基づく支援に当たって、関係機関との役割分担等について調整を行う。

 村福祉事務所は、支援調整会議(第5条 支援調整会議」参照)において、(7)のイ及びウの事業(以下「就労準備支援事業等」という。)が盛り込まれたプランが了承された場合には、就労準備支援事業等については支援決定(第6条 支援決定」参照)を、(2)のエ、オ又はクの事業等については支援内容の確認を行う。なお、自立相談支援機関にあっては、就労準備支援事業等を含まないプランが支援調整会議において了承された場合、当該プランを村福祉事務所に報告する。

 (7)のカの事業につなぐ場合については、村福祉事務所がプランの内容を確認し了承した後、自立相談支援機関は、支援決定等がなされたプランの写しとともに、必要書類を公共職業安定所に送付することにより、支援要請を行う。

 自立相談支援機関は、村福祉事務所の支援決定又は確認を受けたプランに基づき、具体的な支援の提供等を行う。

(8) 支援の提供・モニタリング・評価・再プラン策定・終結については以下のとおりとする。

 プランに基づき、自立相談支援機関自ら支援を実施するほか、各支援機関から適切な支援を受けられるよう本人との関係形成や動機付けの促しをサポートする。

 各支援機関による支援が始まった後も、各支援機関との連携・調整はもとより、必要に応じて本人の状況等を把握(モニタリング)する。

 定期的なプランの評価は、以下の状況を整理し、概ね3か月、6か月、1年など本人の状況に応じ、支援調整会議において行う。

(ア) 目標の達成状況

(イ) 現在の状況と残された課題

(ウ) プランの終結・継続に関する本人の希望・支援員の意見等

 評価の結果、支援の終結と判断された場合は、他機関へのつなぎや地域の見守りなどの必要性を検討し、必要に応じてフォローアップを行う。例えば、就職後から一定期間については、本人の状況を適宜把握し、必要に応じ本人からの相談に応ずることができる体制を整えておくことが望ましい。

 評価の結果、プランを見直して、支援を継続する必要があると判断された場合は、改めてアセスメントの上、再度プランを策定する。

(支援調整会議)

第5条 支援調整会議は、プランの策定等にあたり、以下の4点を主な目的として開催するものである。

(1) プランの適切性の協議

自立相談支援機関が策定したプランについて、村福祉事務所、村及び関係機関が参加して合議のもとで適切性を判断する。プランの内容が、本人の課題解決及び目標の実現に向けて適切であるかを、自立相談支援機関以外の関係者も参画する合議体形式で協議し、判断する。

(2) 各支援機関によるプランの共有

各支援機関が、プランの支援方針、支援内容、役割分担等について共通認識を醸成し、これを了承する。本人が抱える課題と設定した目標を共有し、各支援機関の役割を明確化する。

(3) プラン終結時等の評価

プラン終結時等においては、支援の経過と成果を評価し、自立相談支援機関としての支援を終結するかどうかを検討する。

(4) 社会資源の充足状況の把握と創出に向けた検討

個々のニーズに対応する社会資源が不足していることを把握した場合には、それらを地域の課題として位置付け、社会資源の創出に向けた取組を検討する。

2 具体的な開催方法については、相談者数や社会資源の状況など地域の実情に応じて、自立相談支援機関、村福祉事務所及び村が協議の上、会議開催のルールを定めるものとする。プランに就労準備支援事業等が含まれている場合には、村福祉事務所が支援決定を行う役割を担うことから、村福祉事務所の担当者が支援調整会議に出席することを基本とする。

3 支援調整会議を効率的に開催するため、自立相談支援機関は支援調整会議を開催する前に、プランに盛り込む支援サービスの利用について、必要に応じて村福祉事務所や町、その他の関係機関・関係者との間で調整を行う。

(支援決定)

第6条 村福祉事務所は、プランに盛り込まれた就労準備支援事業等の利用について、その可否を決定するために支援決定を行う。また、併せて、当該プランの内容が適切であるか否かを確認する。

2 村福祉事務所による支援決定は、以下の手順により行うものとする。

(1) 自立相談支援機関は支援調整会議で了承されたプランを村福祉事務所に提出する。

(2) 村福祉事務所はプランに盛り込まれた就労準備支援事業等の支援方針、支援内容等について確認するとともに、それらの事業の利用要件に該当しているかを確認する。

(3) プランに盛り込まれた就労準備支援事業等について、利用要件に該当していることが確認できた場合は、村福祉事務所において決裁し、決裁後、速やかに利用者へ支援決定の通知を行う。

3 前項第2号において、事業の利用要件に該当しないなど、支援決定ができない理由がある場合は、村福祉事務所はその理由を速やかに自立相談支援機関に報告する。報告を受けた自立相談支援機関は、本人と関係機関・関係者と再度プラン内容について確認・調整を行い、見直したプランを改めて村福祉事務所に提出する。

(生活困窮者支援を通じた地域づくり)

第7条 生活困窮者の自立に向け、包括的かつ継続的な支援が提供されるよう、自立相談支援機関が中心となって、支援調整会議その他の既存の合議体も活用して協議の場を設ける。また、効率的かつ効果的に生活困窮者を早期把握し、チーム支援を行うためには、関係機関との連携が重要であり、このためのネットワークづくりを一層進め、その活用を図る必要がある。また、自立相談支援機関が自ら又は当該協議の場、関係機関とのネットワークを通じて把握した社会資源の不足については、支援調整会議その他の協議の場において地域の課題として認識した上で検討を行うとともに、生活困窮者の支援に関する新たな社会資源の開発に努める。

(住居確保給付金の手続き)

第8条 住居確保給付金の相談・受付業務、受給中の面接業務等(村福祉事務所が行う支給決定に関する事務を除く。)は、自立相談支援機関において行う。

(留意事項)

第9条 事業の実施に当たっては、「自立相談支援事業の手引き」(平成27年3月6日付厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)及び「生活困窮者自立支援制度に係る自治体事務マニュアル」(平成27年3月27日付厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)を参照すること。

2 相談支援に当たっては、「自立相談支援事業の手引き」に定める「自立相談支援機関使用標準様式(アセスメントシート・プランシート等帳票類)」を使用すること。また、利用者ごとに支援台帳を作成し、管理すること。

3 関係機関と個人情報を共有する場合は本人から同意を得ておくことなど、個人情報の取扱いについて適切な手続きを踏まえること。

この要綱は、平成27年4月1日から施行する。

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日吉津村生活困窮者自立相談支援事業実施要綱

平成27年4月1日 要綱第16号

(平成27年4月1日施行)