○日吉津村環境基本条例
平成23年3月22日
条例第1号
日吉津村は、東に秀峰大山、西に一級河川日野川、北に日本海、南に箕蚊屋平野が広がる、自然豊かな村である。
日吉津村も、昭和27年の日本パルプ工業(株)米子工場(現王子製紙(株)米子工場)の操業開始、昭和60年の国道431号の開通、平成11年のジャスコ日吉津ショッピングセンター(現イオンリテール(株)イオン日吉津ショッピングセンター)の出店等、地域開発が進む中で、環境は大きく様変わりしてきた。
あわせて高度経済成長期以降の、大量生産、大量消費、大量廃棄などの資源浪費型の生活形態は、生活の利便性を高めていく一方で環境への負荷を増大させ、地域の豊かな自然や生活環境に影響を与え続けている。
今、地球温暖化問題等、地球規模での環境破壊が危惧される中、日吉津村においても、環境問題について村民みんなで考え活動していくことが必要となってきている。
村民の命と健康を守り、先人たちが営々と守り続けてきた日吉津村の資源と環境を持続可能なものにするために、日吉津村環境基本条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、良好な環境を保全し創造するため、基本理念を定め、村、村民、コミュニティ(自治会、ボランティア団体等)及び事業者の連携のもと、それぞれが果たすべき役割を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定め、総合的かつ計画的に施策を推進し、現在及び将来の村民の健康で文化的な生活を確保することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境保全上の支障となるおそれのあるものをいう。
(2) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って発生する相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚染・汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。
(3) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少、その他の地球環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、村民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(4) 循環型社会 天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう。
(基本理念)
第3条 良好な環境の保全と創造は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。
(1) 村、村民、コミュニティ及び事業者が自らの活動と環境との関わりを認識し、環境にやさしい身近な行動を心がけ、皆の参加のもと持続的に発展することができる循環型地域社会を創ること。
(2) すべての生物にとってなくてはならない水の大切さを認識し、安全でおいしく飲める水環境の維持に努めること。
(3) 多様な生物が生息できる生態系及び自然環境を守り、身近な自然そして生物を大切にする心を養い、自然とのふれあいを深め、人と自然との共生が図られること。
(4) 先人が築きそして引き継いできた歴史、文化遺産を大切に守り、私たちの生活の中に密着したものとして引き継ぎ伝えていくこと。
(5) 環境保全は、人類共通の課題として、すべての者が自らの問題として認識し、日常生活及びあらゆる事業活動において着実に取り組むことにより、環境にやさしい行動を積極的に推進すること。
(村の役割)
第4条 村は、前条に規定する基本理念にのっとり、自然的社会的条件に応じた環境の保全に関する施策を策定し実施するものとする。
2 前項に定めるもののほか、村は、村民、コミュニティ及び事業者(以下「村民等」という。)と協働し、環境保全活動に努めるものとする。
(村民の役割)
第5条 村民は、基本理念にのっとり、住み良い生活環境を築くため、自らの行動によって、良好な環境を損なうことのないようにお互いに配慮するとともに、日常生活において、資源及びエネルギーの使用並びに廃棄物の排出等による環境への負荷の低減に努めるものとする。
2 前項に定めるもののほか、村民は、村、コミュニティ及び事業者と協働し、自発的な環境保全活動に努めるものとする。
(コミュニティの役割)
第6条 コミュニティは、基本理念にのっとり、村民の先導的な役割を担うべく、村民が参画できる体制の整備・情報の提供及び活動機会の充実等を図り、環境保全活動を積極的に推進するものとする。
2 前項に定めるもののほか、コミュニティは村、村民及び事業者と協働し、環境保全活動に努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、基本理念にのっとり、自らの責任と負担において、その事業活動に伴って生ずる公害を防止するための必要な措置を講ずるとともに、積極的に環境保全対策に努めるものとする。
第2章 環境保全及び創造についての基本的施策
第1節 施策策定の基本方針と環境基本計画
(施策策定の基本方針)
第8条 村は、環境施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる基本方針に基づき、施策相互の連携を図るとともに、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 村民の健康の保護及び快適な生活環境の確保
(2) 人と自然との触れ合いの確保及び生態系に配慮した自然環境の保全
(3) 地域の特性を活かした景観の形成その他自然、文化、産業等の調和の取れた快適な環境の創造
(4) 資源の循環的利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量の推進
(5) 地球環境保全に資する取組みの推進
(環境基本計画)
第9条 村長は、良好な環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。
2 環境基本計画は、日吉津村自治基本条例(平成20年日吉津村条例第22号)第18条に規定する基本構想に即し、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 良好な環境の保全と創造に関する総合的かつ長期的な目標と施策の内容に関する事項
(2) 村民等が良好な環境の保全と創造のために行動するうえにおいて配慮すべき指針に関する事項
(3) 前2号の掲げるもののほか、良好な環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 村長は、環境基本計画を定めるに当たっては、村民等の意見を反映させるための必要な措置を講ずるとともに、第3章に規定する日吉津村環境審議会の意見を聴くものとする。
4 村長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表するものとする。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更についても準用する。
(年次報告)
第10条 村長は、毎年、環境の状況及び良好な環境の保全と創造に関して講じた施策の結果を明らかにした報告書を作成し、これを公表するものとする。
第2節 個別の施策
(環境の日の設定)
第11条 村は、村民等の環境保全意識の高揚が図られ、具体的な活動が行われるように「環境の日」を設ける。
2 「環境の日」については別に定める。
3 村は、「環境の日」にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。
(環境教育の推進)
第12条 村は、環境教育の充実を図るため、次に掲げる事項を計画的に実施するものとする。
(1) 学校教育における環境教育の推進
(2) 環境の保全と創造に関する生涯学習の支援
(3) 環境の保全と創造に関する広報啓発活動
(4) その他環境教育及び環境学習の推進のために必要な施策
2 村民等は、環境に配慮した活動を自ら実践できるように、環境教育及び環境学習に主体的に取り組むものとする。
(情報の収集と提供)
第13条 村は、環境の保全と創造に関する情報を収集するとともに、村民に対してこれを的確かつ速やかに提供するように努めるものとする。
(公害の防止)
第14条 村は、公害を防止するために必要な規制の措置を講ずるものとする。
2 村は、環境の保全上の支障を防止するために必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。
(景観の保護と形成)
第15条 村は、快適な環境の創造のために歴史的文化的施設を保護し、この活用を通じて個性あふれる街並みを形成するとともに、自然環境と調和のとれた魅力ある景観の保全に努めるものとする。
(廃棄物の減量と資源化)
第16条 村は、資源の循環的利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるように努めるものとする。
2 村は、環境への負荷を低減するため、村の施設の建設及び維持管理には、資源・エネルギーの有効利用並びに廃棄物の減量が促進されるように努めるものとする。
3 村民は、廃棄物の減量に努め、適切な分別を行いその資源化に努めるものとする。
(地球温暖化防止対策の推進)
第17条 村は、地球環境の保全において村民等と協働して地球温暖化防止対策に関する施策を推進するものとする。
2 村は、自ら率先して温室効果ガスの排出の抑制に努めるものとする。
(国及び他の公共団体との協力)
第18条 村は、環境保全及び広域的な取組を要する環境施策について、国及び他の地方自治体と協力してその推進に努めるものとする。
(推進体制の整備)
第19条 村は、村民等と連携し、環境施策を計画的かつ効果的に推進するために必要な体制の整備に努めるものとする。
(監視体制の整備)
第20条 村は、環境の状況を把握し、環境施策を適正に実施するため、必要な監視、測定、調査等の体制の整備に努めるものとする。
(助成及び負担)
第21条 村は、村民等が行う環境への負荷の低減のための自主的な活動を促進するため、助成その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2 村は、環境への負荷を低減するために必要があると認めるときは、村民等に対し、必要な範囲において負担を求めることができる。
第3章 日吉津村環境審議会
(設置)
第22条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、日吉津村環境審議会(以下「環境審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第23条 環境審議会は、村長の諮問に応じて、環境基本計画に関する事項、環境の保全及び創造に関する重要な事項等を調査及び審議する。
2 環境審議会は、前項に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する重要な事項等を村長に提言することができる。
(組織)
第24条 環境審議会は10人以内で組織する。
2 委員は次に掲げる者のうちから、村長が委嘱する。
(1) 村民から公募した者
(2) 自治連合会から推薦された者
(3) 専門的知識を有する者
(4) その他村長が必要と認める者
3 委員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。
4 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第25条 環境審議会に会長及び副会長を各1名置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選により定める。
3 会長は、会務を総理し環境審議会を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(会議)
第26条 環境審議会は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 環境審議会は、委員の半数以上が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 環境審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
第4章 補則
(委任)
第27条 この条例に定めるもののほか、条例の施行に必要な事項は、村長が定める。
附則
この条例は、平成23年4月1日から施行する。
附則(平成25年条例第7号)
この条例は、公布の日から施行する。